大江卓ゆかりの「清国の大旆」が宿毛歴史館で特別公開

宿毛が生んだ近代ニューマニズムの先駆者・大江卓の生誕170年を記念して、宿毛歴史館で「宿毛の大江卓」展が開催されています。
この企画展では、関係者の尽力のもと神奈川県立図書館が所蔵する歴史的文化財「大旆」(たいはい)の特別展示が実現しました。

大江卓ゆかりのこの「大旆」は、あざやかな赤色のサテン地に金文字で謝辞が書きこまれた縦349㎝×横188㎝の大きな旗で、明治5年、大江卓が「マリア・ルス号」から清国人299人を解放したことへの感謝の証として、横浜在留の中国人互助会組織「中華会館」から大江卓個人へと贈られたものです。
中国の吉祥模様が刺繍された華やかなつくり。官吏の昇進を祈念する中国の慣用句「指日高陞」(日が高く昇を指す)が刺繍され、金文字で書かれた本文には卓への謝意が漢詩で記されています。中国の古語で書かれているため全文の解読は未だなされていませんが、卓に対する深い感謝と尊敬、栄達の祈願がしたためられているとのこと。作者の一人である労梅石は横浜に在留した漢詩人として知られる人物です。
「大旆」は作成されてから約150年という長い月日をへた布製品。金箔をつかっており大変傷みやすく、保存が難しい文化財です。劣化を防ぐため神奈川県立図書館でも慎重に慎重をかさねた厳重な管理がなされており、実物が公開されること自体が稀な名品。特別展示にあたり、宿毛歴史館では温度・湿度管理された特別室のなかに特注の専用ケースをつくり係員の誘導のもとでのみ閲覧可能としています。
移動させること自体が劣化につながるため、宿毛市への貸与は今回が最初で最後になると予想されています。二度とはないかもしれない大変貴重なチャンスなので、期間中にぜひ一度、宿毛歴史館に足を運ばれてみてください。公開期間は2017年11月5日(日)まで。
→参考:「大江卓の大旆」神奈川県立図書館デジタルアーカイブ

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